食い縛り(くいしばり)TEETH CLENCHING
ふと気付くと無意識のうちに「歯を食いしばっている」・・・、そんな経験はありませんか。それは「クレンチング症候群」と呼ばれる習慣かもしれません。いわゆる「食い縛り」と言われるもので、放置すると様々な健康問題を引き起こす可能性があるため、早めの対策が重要です。特に歯の摩耗や顎関節症、歯周病の悪化、頭痛や肩こりなどは、放置すると慢性的な症状に発展し、生活全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに慢性化した症状をさらに放置し続けると、最悪の場合、歯を失う原因にもなり得るので注意が必要です。
原因としては、ストレス、飲酒、喫煙、怒りっぽい性格などが挙げられますが、うつ病や、精神病薬の副作用、遺伝的な問題なども、その原因の一つとして考えられています。
まずは、ストレスなどの原因を取り除くことは重要ですが、食い縛りは歯科クリニックでも改善が可能です。ご自身や大切な人の食い縛りに気がついたら、いつでもお気軽にわたしたちにご相談ください。
食い縛りの影響とその治療
食い縛りはこんなことに影響します。
顎(あご)への影響
食い縛りが原因で、顎関節症になる事があります。
食い縛りで顎に力が加わると、顎の関節にある関節円板がずれたり、変形、穴が開くなどの「顎関節症」を引き起こすことがあります。
肩こり/片頭痛
側頭筋などの顎周辺の筋肉は首や肩にかけつながっており、食い縛りによって筋肉が緊張したり疲労するため、肩こりが起こります。
さらに、筋肉が緊張することにより側頭筋が頭を締め付けることで偏頭痛が起こりやすくなります。
顔の歪み
片側の顎に偏って力が加わり続けることで、咬筋や側頭筋という筋肉が肥大し、顔の左右で筋肉の量に差が生じるため顔の非対称性が生じる場合があります。
エラやフェイスラインの崩れ
咬筋の肥大や顎の骨の変形によりエラの張り、顎のラインの崩れの他、顔が大きく見えるようになることがあります。
噛むときの痛み
食い縛りによって歯の周囲の「歯根膜」が炎症を起こし、噛む動作中や食いしばる際、痛みを伴う場合があります。長時間続く食い縛りは、歯や歯茎に継続的にダメージを与えます。噛む時に歯や歯の周りが痛むけど場所の特定しづらい、また、痛みい場所がコロコロ変わるなどの場合は、食い縛りによる痛みが疑われます。
歯自体への影響
食い縛りにより歯や歯茎に大きな力がかかることで歯がしみる事があります。食い縛りにより歯の根元や咬合面が削れたり、亀裂が入ることで、知覚過敏が起こりやすくなります。歯の亀裂から細菌が入り、神経に感染してしまうと神経が壊死する場合もあります。
さらに、歯に大きな力がかかることで歯が割れるあるいは歯が欠けることもあります。ひどい場合は抜歯をする必要があるので、これらにも注意が必要です。
つめものや、かぶせものへの影響
食い縛りによって歯に強い力が加わることで、セラミックの詰め物やかぶせものが割れる事があります。
固くて丈夫なセラミックの場合はかえって咬合面が欠けてしまうこともあります。
歯ぐきへの影響
食い縛りによって歯を支えている骨に負担がかかり、歯茎が痩せてしまいます。とくに歯周病や歯茎が腫れている方は、早く歯茎が痩せていくリスクがあります。
骨隆起(こぶ)
顎の骨に歪みを伴う強い力が加わる事で、特にその力が集中する部分に「骨隆起」という骨のこぶができる事があります。
骨隆起は、下顎の内側(舌側)や上顎の口蓋(天井)に多く見られ、下顎の内側では、小臼歯の裏側などに丸くボコボコとした隆起が認められます。上顎にあれば口蓋隆起、下顎にあれば下顎隆起と呼ばれます。
骨隆起が食事中の咀嚼や入れ歯に影響を与える場合は、こぶの除去が必要になる場合があります。
ご自身でできる食い縛り対策
- 適度な運動:
ジョギング、ウォーキングをはじめ、ヨガ、ストレッチなどの軽い運動を習慣化することで、ストレス・ホルモンの分泌が抑えられ、リラックス効果が得られます。 - リラクゼーション:
アロマやマッサージなど、リラクゼーション久賀が期待できることはストレスの軽減に役立ちますので、積極的に取り入れましょう。また、音楽鑑賞、読書、絵画や書道などの趣味も、心を落ち着かせてくれ、ストレス軽減が期待できそうです。 - 深呼吸:
心が緊張していると感じたら、いつでも深呼吸を行いましょう。ゆっくりと深呼吸を繰り返すことで心拍数や血圧を下げ、緊張感をほぐしながらリラックス効果を得ることは、質の高い睡眠のためにも重要です。
これらは一例にすぎません。何よりストレスを溜めないこと。これにつきます。
でも、どうしてもご自身で改善できない場合は、ぜひ当院に一度ご相談ください。